デッドニング!吸音材・遮音材・制振材 |
作成日:2012/09/20、最終改訂日:2012/10/09 |
§遮音-01:軟質遮音シート〜シャオンスター(三菱樹脂)
建築用、というか家を建てるときに、グラスウールなどの吸音材と併用して使われる「遮音材」です。
一件の家の壁・・・というと、かなりの量にが必要になりますので、比較的安い値段で大きな効果が得られる・・・ということになります。
軟質遮音シート〜シャオンスター(三菱樹脂 Mitsubishi Plastics)の公式サイトはこちらです。
三菱樹脂>製品情報>建築資材>住宅用機能性フィルム・シート>シャオンシート>シャオンスター
幅90cm、長さは10m、重さは20kg。厚さは1.2mm
家を建てるときには、重さは関係ないのですが、クルマのデッドニングには、重いかもしれない。
実際、手に持つと、結構「重い」。 これを全部、クルマに積んだら、そうとうに燃費が悪くなるぞ! と言う感じがする。
ガソリン40リッターで40kgだし、実際には「荷物を100kg積むと3%燃費が落ちる」とか言われてますので、20kgを全部使っても、それほどの影響は無いはず。
表面は「黒」。綺麗な仕上がりになってます。
やわらかく、普通の「はさみ」を使って、切ることができます。
曲げる程度なら問題ないのですが、2つに折り曲げると、亀裂が入るので、注意しましょう。
表面を拡大すると、こんな感じです。
写真では灰色に見えますが、黒です。
−*−
では、この「シャオンスター」に、どれだけの遮音性があるのか、実験してみましょう。
スピーカーから、ホワイトノイズを出して、それをマイクで拾います。
スピーカーとマイクの間に、「シャオンスター」を挟めば、ノイズが減るはずです。
〔注意〕80Hz以下の低い周波数は、スピーカー保護のため、最初から、めいっぱい減衰させています(部屋のノイズの方が大きいかも)。
従って、80Hz以下は無視して、100Hz以上の周波数の音が、吸音材・遮音材によって、どれくらい減衰しているかを、チェックしてください。
わずか厚み1.2mmの「シャオンスター」を1枚、挟んだだけで、音がかなり静かになっていることがわかります。
実際、実験している部屋全体が、かなり静かになります。
100Hzでは、ほとんど減衰はありませんが、400Hzで15dB。1kHzで 20dBの減衰になってます。 それ以上の高い音は、かなり遮られています。
遮音性能(各周波数における音響透過損失性能測定結果)
メーカーホームページより |
中心周波
数(Hz) |
100 |
125 |
160 |
200 |
250 |
315 |
400 |
500 |
630 |
800 |
音響透過
損失(dB) |
- |
8 |
10 |
11 |
11 |
13 |
14 |
16 |
17 |
19 |
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中心周波
数(Hz) |
1000 |
1250 |
1600 |
2000 |
2500 |
3150 |
4000 |
5000 |
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|
音響透過
損失(dB) |
20 |
22 |
24 |
26 |
28 |
30 |
32 |
33 |
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これを、グラフに当てはめて見ましょう!
低い周波数では、横から漏れて回り込む音があるので、メーカーの測定結果よりも悪くなるはずです。
でも、実際計ってみた数値と、メーカーの測定結果、かなり近い値になってますね。
遮音材ですから、「音を吸収させている」のではく、音を反射させています。
スピーカー側の音(クルマで言えば、鉄板と遮音材との空間)は、反射される分が増えて、大きなノイズが響き渡っていることになるはずですが、そのあたりは、とりあえず気にしないことにしましょう。
−*−
人間、だんだんと「欲」が出てくるモノで、
「これだけ効果があるのなら、2枚重ねれば、すごいことになるぞ!」
と考えたくなります。 どうでしょうか???
これは、シャオンスターの2枚重ね。
隙間がないようにして、2枚のシャオンスターを重ねると、こんな感じ。
それなりにノイズは減ってますが、400Hzから1kHzあたりの減衰量はイマイチ。
というか、このあたりは、ほとんど減ってない。
耳で聞いていても、確実にノイズは減っているけど、2倍の効果があるかと言えば、大いに疑問。 そんな感じです。
で、下手をすると、こうなります。
2枚重ねで、2枚の間に隙間が出来たケース。
500Hzから1.5kHz、特に1kHzあたりのノイズが、逆に増えてます。
2枚重ねの時は、こうならないように、注意する必要がありそうです。
では、シャオンスター2枚の間に、吸音材を挟み込んで、サンドイッチにするとどうなるか?
吸音材「シンサレート」を挟み込んでみました。
軽い吸音材で、1kHz以下の吸音性はあまりよくないです。
400Hz〜1kHzあたりで、遮音性が良くないですね。
グラフで言えば、-60dB以下になって欲しいのですが、この周波数帯域では、1枚の時よりも遮音性が悪くなってる。
こんどは、吸音材「シンサレート」を2枚、挟み込んでみました。
効果はあるけど、吸音材を挟まずに、2枚重ねにしたほうが良さそうですね。
ちなみに・・・
スピーカーから音を出していないとき(周囲のノイズ)は、こんな感じです。
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《 遮音材の2枚重ねは、要注意 》
「分厚い遮音材」を選ぶか、「薄めの遮音材を2枚重ねる」か、
どっちがより効果的だろう???
おそらく後者の方が良いだろう!
実験をする前は、そう考えてました。
分厚い遮音材がないので、実験できないのですが、2枚使うときは、接着剤で2枚をくっつけるなど、工夫する必要がありそうです。
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