デッドニング!吸音材・遮音材・制振材 |
作成日:2012/09/24、最終改訂日:2012/10/03 |
§遮音-03:遮音材の2枚重
シャオンスター(三菱樹脂)をはじめとする建材用の遮音材、あるいは分厚い合成ゴムなどには、優れた遮音効果がある。
ならば、その遮音材を、2枚重ね・3枚重ねにすると、もっと遮音効果が高くなるのではないか?
15dBの遮音効果のある遮音材を2枚重ねると、15+15=30dBの遮音効果があるのではないか? そう思いたくなるのですが、世の中そんなに甘くない!!
1.2mmの遮音材を2枚重ねたものと、2.4mmの遮音材では、どちらが有利なのか?
あるいは、1.2mmの遮音材を重ねた場合と、2枚の遮音材の間に「吸音材」を挟んだ場合では、どちらが有利なのか?
この疑問に対して、興味深いサイトがある。
音・振動環境部会 > よくある質問 > 遮音
どうも、こんな具合のようである。
(1)遮音性能20dBの遮音シートを2枚重ねると、遮音性能は5dBプラスで、25dBになる。 (遮音性能40dBにはならない)
(2)「石膏ボード+遮音シート1枚」から「石膏ボード+遮音シート2枚」にした場合には、わずか1dB程度しか、遮音性能は改善しない。
う〜ん....
なんか、これ、重要を持っていそうな気がする。
自動車の床の場合、「床の鉄板」と「フロアーマット」が、遮音材の役目を果たしているはず。
じゃぁ、鉄板とフロアーマットの間に、「遮音効果20dBの遮音材」、実質的に3枚目の遮音材を挟み込んだとして、果たしてどれだけの効果があるだろうか?
遮音材を挟んだ時に、それなりの効果が出るとして、その場合、遮音材と遮音材の間に、吸音材を挟んだ方がいいのか、挟まない方がいいのか?
これは実験してみるしかない。
まずは、遮音材無しで、ピンクノイズを出す。
そこから、いくつかのパターンで、遮音材をのせていく。
●パターン1 (下) シャオンスター 〜吸音材〜 シャオンスター(上)
●パターン2 (下) シャオンスター 〜吸音材〜 合成ゴムシート(上)
●パターン3 (下)合成ゴムシート 〜吸音材〜 合成ゴムシート(上)
●パターン4 (下)合成ゴムシート 〜吸音材〜 シャオンスター(上)
吸音材については、「吸音材無し」「ニードルフェルト」「シンサレート2枚」とする。
吸音材を挟むことで、遮音材同士に、約10mmの隙間が出来る。
下の遮音材を抜けた音が、上の遮音材に跳ね返り、さらに下の遮音材に跳ね返り・・・というパターンが生ずる....かどうかは、わかりませんが、思うようにいかない結果になる時があります。
400Hz〜1kHzあたりのノイズが、思うように減衰しないばかりか、2枚重ねの時より、1枚だけの時の方がノイズが増えたりすると最悪。
そうなると、調べるのもやっかいだっだりする。
では、実験開始!
〔注意〕80Hz以下の低い周波数は、スピーカー保護のため、最初から、めいっぱい減衰させています(部屋のノイズの方が大きいかも)。従って、80Hz以下は無視して、100Hz以上の周波数の音が、吸音材・遮音材によって、どれくらい減衰しているか、チェックしてください。
●パターン1 (下) シャオンスター 〜吸音材〜 シャオンスター(上)
まずは、シャオンスター1枚。 厚さ1.2mm。 無いのとあるのとでは大違い。
125Hz〜600Hzあたりは、2枚重ねの効果が出ているような感じ。
その他は効果なし。
2枚重ねによる、300Hz〜600Hzあたりの効果が消滅。
このあたりは、人間の声にダブる部分なので、消しておきたい。
ん!? 500Hz以下は消えてけど、なんか微妙!
●パターン2 (下) シャオンスター 〜吸音材〜 合成ゴムシート(上)
まずは、シャオンスター1枚。 厚さ1.2mm。 無いのとあるのとでは大違い。
厚さ2.6mmの重いゴムシートをのせる
ゴムが重いので、空洞が出来ないのか、ゴム遮音性が高いのでノイズが上に抜けてこないのか、ともかく効果がある。
300Hz以上で 25dBの効果は大きい。(グラフで -45dB → -70dB)
なにも挟まない時よりも、遮音性能が悪化したような・・・・。
1kHz以上のノイズは、「ほぼ完全」に遮断されているような...。
上とほとんど同じ。
●パターン3 (下)合成ゴムシート 〜吸音材〜 合成ゴムシート(上)
分厚くて重い、合成ゴムシート 2.6mm。
これだけでも、それなりの遮音効果がある。
2枚重ねると、ズシリと重い。
1枚のときも、2枚の時も、ほとんど、変化なし
1kHz以上のノイズが、ほとんど消滅。。。かな。
上と同じように、1kHz以上のノイズが、ほとんど消滅
シンサレートは、ふわふわしているので、2枚の間から、630Hz〜1kHzあたりで音が漏れている??
●パターン4 (下)合成ゴムシート 〜吸音材〜 シャオンスター(上)
分厚くて重い、合成ゴムシート 2.6mm。
これの上に、比較的軽い「シャオンスター(1.2mm)」をのせるとどうなるか?
効果があると言えば、効果がある。 微妙と言えば微妙。
う〜ん・・・
400Hzあたりから、効果が出てきた感じ。
でも・・・・何も挟まない方がいい???
なんとも、悩ましい結果が出た。
本来なら、シャオンスターを2枚、接着剤でくっつけた実験をすればよかったのですが、面倒(実際に実験して、それを実際に使うとすれば、かなりの接着剤が必要)なのでやっていません。 やってみるべきなのだろうか?
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《 「消したい!」と思う周波数は? 》
ともかく、消せるノイズは、消したほうがいい。
でも、出来るだけ消したい周波数帯ってのがあるはず。
出来れば、300Hzから1kHzあたりは、消しておきたい。
ところが、ここらへんの周波数は、条件を変えただけで、ノイズが増えたり減ったりする。
クルマの遮音材として使う場合、フロアーマットや底板の鉄板、発泡スチロールの吸音材などとの絡みがあるので、なにがベストなのか、「やってみなければわからない」というのが、結論なのかもしれない。
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