CDレシーバー U585BT(kenwood) |
作成日:2013/06/26、最終改訂日:2013/07/02 |
§U585-16:U585BT(KENWOOD) 〜Cross Over編
カーステレオ(?)用の1DINコンポ、ケンウッド U585BT です。
公式ページを見ると、 「MP3/WMA/AAC/WAV対応 CD/USB/SD/BTレシーバー U585BT」
と書いてあります。
今回は、「Pro Setup」の中の「X'Over」。
「Cross Over」 というか「Crossover」というか、「クロス・オーバー」というか。
意味は、
「マルチウェイスピーカーの、各帯域ユニットの受け持ち周波数の境界をクロスさせる」
ということなのかな。
・特定の周波数(クロスオーバー周波数)を境に、「サブウーハー」と「フロントスピーカー」を振り分ける。
・特定の周波数を境に、フロントスピーカーの「ウーハー」と「ツイーター」を振り分ける。
というのが、本来の「CrossOver」になるはず。
U585BT の「X' Over」は、実際には、クロスオーバーというよりも、ローパス・フィルター(低い周波数を通して、高い周波数をカット)や、ハイパス・フィルター(高い周波数を通して、低い周波数をカット)の設定なので、意外と便利な使い方ができそうです。
また、2WAY(ウーハー+ツイーター)のスピーカーで、低音・中音域を高音域を振り分けるのも、「X'Over」になる・・・・はずなのですが、U585BT
には、「ウーハー出力」「ツイーター出力」というのはありません。 どうするか??
実際に、試してみましょう。
再生中に「コントロールノブ」を押して、Audio Control → Pro Setup→ X'Over と進みます。
フロントスピーカーの「X'Over」設定は、実質的には、
フロントスピーカーの ハイパスフィルター(低音をカットするフィルター)
の設定になっています。
「サブウーハー」を使うときには、フロント&リアスピーカーの低音域をカットして、サブウーハーの高音域をカットすることになります。
この際、フロント&リアスピーカーの低音域をカットするのが、本来の「X'Over」の役割と言うことになります。
じゃぁ「サブウーハー」を使わない時は、この項目が不要なのか???
・・・といえば、そうでもない。 別の使い方が出来そうです。
17cmクラスのスピーカー(クルマのドアに装着する)は、20Hzとか30Hzとかの低音域は、ちゃんとした音にならず、スピーカーのコーンが振動するだけ。
ドアのスピーカーから音を出すと、スピーカーの内装パネルが振動して揺れたり、ドアの外の鉄板が揺れたりする。 余計な振動(音にならない低い周波数)は、音を濁らせる可能性がある。
どうせ音にならないであろう 20Hzとか 30Hzとかの低音域は、カットしておいた方がよいのかもしれない。
サブウーハーが無いときにも、そういう用途で「X'Over」が重宝しそうです。
試してみましょう。
初期設定値は、フロント・リア共に、「スルー」になっています。
クロスオーバー周波数・・・・というか「ハイパスフィルターのカットオフ周波数」とうか・・・・
「フロントスピーカーのここより下をカットする」という周波数を指定できます。
カットする周波数は、30Hz, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 120, 150, 180, 200, 250Hz、および(Through=スルー)から選べます。
カットオフ周波数を250Hz にして、SLOPE を変化させてみます。
(※注:MP3に圧縮したピンクノイズを使ったので、グラフの15kHz以上の高音域が落ちてます)
SLOPE(スロープ)は、-6dB, -12dB, -18dB, -24dB から選べます。,
SLOPE:-6dB にすると、カットするときの傾斜が緩くなります。
SLOPE:-24dB にすると、カットするときの傾斜が鋭くなります。
次に、SLOPEを-24dBに固定して、カットオフ周波数を変化させてみます。
カットオフ周波数を変化させれば、聞こえてくる音は「明らかに違う!」はずです。
でも、40Hzとか 30Hzとかになると、音の違いが、わからないかもしれない。
100Hz以下をカットして音楽を聴いてみると、100Hz以下の音が「必要」なのか「不要」なのか、音楽にどのような影響を与えているのか・・・・そんなのがわかります。
30Hz以下をカット。
どうせ、スピーカーから音になって出てこない低域部分なので、ドアの内装の振動などの悪影響を考えると、これっくらいに設定しておいた方がよいのかもしれない
30Hz以下をカットすれば、スピーカーへの負担を減らせますし・・・
−*−
次は、「X'Over」のツイーターの設定です。
U585BT には、「ツイーター出力端子」なんてものはありません。
ウーハーとツイーターが別々になったスピーカーを鳴らす場合でも、出力は「フロント・スピーカー」からの出力であり、スピーカーのネットワークで、ウーハーとツイーターに振り分けます。
なので、U585BTの「X'over」の設定で、ウーハーとツイーターに振り分ける周波数(クロスオーバー周波数)を振り分けることなど、絶対に出来ません。
じゃぁ、ツイーターの「X'Over」設定ってなに? という話になってきます。
「ツイーターの割り当てになるであろう」高音域が大きすぎて、「うるさい」ばあい、すこしレベルを落としてやろう!・・・・というのが、ツイーターの「X'Over」設定のようです。
トーンコントロールの「High」のボリュームを絞るような感じ。
イコライザーで、高音域のゲインを下げても、各周波数を均一に落とすことが出来ません。
でも、ツイーターの「X'Over」設定を使えば、指定した周波数以上の高い音を、一定のレベルで下げることが出来ます。 はっきりいって、これは便利です。
この設定をやるときには、「Speaker Setting」の「フロント・スピーカー」の設定のところで、、「ツイーター:あり」にする必要があります。
Large でも Small でも、よさそうです。初期設定は「なし」になっています。
そうすると、「X'Over」の設定で、Tweeterが出てきます。
本来は「フロント・スピーカー」の「ツイーター」という扱いなのでしょうが、このように表示されます。
初期値は、減衰:なし。
(※13kHz付近が盛り上がってるのは、SupremeをON/初期値にしたため)
クロスオーバー周波数(というより、この周波数よりも高い音を減衰させる・・・とういう設定)は、
1kHz, 1.6k, 2.5, 4k, 5k, 6.3k, 8k, 10k, 12.5kHz から選べます。
減衰量は、「Slope」ではなく「Volume」になっています。 減衰量は最大で、-8dB
こんな感じです。
高音域が耳障りなときは、イコライザーで高音を落とすより、これで高音を落とした方が良さそうです。
フルレンジスピーカーだろうが、コアキシャル(1つのスピーカーの真ん中にツイーターがある)だろうが、セパレートの2WAYだろうが、これで調整してやれば、よさそうです。
セパレートの2WAYであれば、実際のクロスオーバー周波数(実際に、ウーハーとツイーターに振り分けている周波数)に合わせておかないと、違和感が出るかもしれない。
でも、スピーカーが一体化している「コアキシャル」型の場合は、そんなのを気にせずに、自由に設定しても、違和感はないと思います。
−*−
−*−
次は、サブウーハーの「カットオフ周波数」の設定です。
サブウーハーの出力は、U585BTの内蔵アンプではなく、「RCA」の「プリアウト出力端子」につなぐ外付けサブウーハーに出力する音の設定になります。
初期設定では、サブウーハーは「使わない」設定になっています。
Speaker Setting → Subwoofer の設定で、「サブウーハーを使う」設定に変更しておきます。。
X'Over の設定項目に、今まで出てこなかった「SubWoofer」の項目が出てきました。
カットする周波数は、30Hz, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 120, 150, 180, 200, 250Hz、および
through から選べます。
まず、カットオフ周波数を変化させてみます。
サブウーハーのカットオフを、Through(スルー) にすると、フロントスピーカーと同じ音が出てくるようです。
U585BTのカットオフをThroughにしておおいて、RCA接続する「外付けサブウーハー」のアンプ側でカットオフを設定したほうがよいかもしれません。
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最後に・・・・
ツイーター・サブウーハーを設定してから、もう一度、フロントスピーカーを設定しようとすると・・・
こんな感じの表示になります
「サブウーハー」のグラフと、フロントスピーカー(ツイーターの設定による高音域の減衰を含む)のグラフが出てきます。 「クロスオーバー2つある」、3WAYスピーカーみたいなというイメージになりますね。
ツイーターの「X'over」で、6.3kHz -8dB を設定。 6.3kHz以上は -8dB。
さらに、フロントスピーカー(ツイーター分を含む)全体の「GAIN」(Volume表記ではない)を -4dBし、250Hz以下の低音域を、カット。
こちらは、RCAの「サブウーハープリアウト」です。
120Hz以上の周波数をカットしています。
直感的には、「X'Over」の設定は、サブウーハーもツイーターもつけていない場合には、必要なさそうに思えるのですが、実際には、サブウーハーもツイーターもつけていない、ドア4枚に4つのスピーカーをつけているクルマにこそ、是非とも設定しておきたい項目だとも言えます。
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《 クロスオーバーでの低域カットは、純正スピーカーに有効? 》
クルマに最初からついているスピーカー(フルレンジ)は、非常に軽く作られている(燃費向上のため?)ので、すこし大きな音を入れると、すぐに音が割れてしまいます。
じゃぁ、30Hz〜60Hzあたりで、低域をカットしてやればどうなるか?
スピーカーを大きく振動させるのは、低い周波数なので、これをカットしてやれば、スピーカーに入る出力はかなり減るはずです。
だとすれば、低域をカットしてやれば、ある程度音を大きくしても、スピーカーからの音は、割れずに、ある程度耐えてくれるのではないでしょうか。
少なくとも、低域をそのまま、スピーカーに入れたときよりは、マシでしょう。
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