2-11:E40・E100
MP3プレーヤー(デジタル・オーディオプレーヤー)のなかには、SRS Labs の「SRS WOW HD」を搭載したプレーヤーが存在します。
スピーカーやヘッドフォンの音場補正というか、サウンドの立体感を作り出すというか、そんな感じの補正機能でしょうか?
公式サイトによると、
・臨場感のある3Dオーディオ
・重低音の増強:
・高周波帯域の明瞭感
・音場の高さ補正
の4つの効果が、書いてあります。
単なる、音の大きさを変えるイコライザーではなく、倍音の処理など、複雑な処理をしているものと思われます。 詳しくは、公式サイトにて・・・
SRS Labs > SRSソリューション > ホームエンターテーメント > WOW HD
SRS Labs > SRSソリューション > 携帯機器 > WOW HD
では、この「SRS WOW HDを使った音」と、「何もしない、純粋な音(ピュアオーディオ)」では、どちらが聞きやすい音になるのか?
「実際に、両方を比べてみて、自分が、良いと思った方を選べばいい!」
というのが正解だろうと思います。
ヘッドフォンでも、家庭用のオーディオスピーカーでも、PAスピーカーでも、あるいは公共施設や体育館などでの比較的大きなフロアーなどにおいても、どちらが良いかは、「比べてみないと、どちらが良いかわからない」と思います。
手持ちのMP3プレーヤーは、「SRS WOW HD」を搭載しているものを選んで買っています。(sandisk e100だけは、SWS WOW搭載)
使いたければ使えばいいし、必要なければ使わなければいいのですから。
アイリバー(iriver)のE30および、E100の WRS WOW は、5種類の項目の設定が出来るようになっています。
・SRS : サウンドの立体感
・TruBass : 低音強調の値
・Focus : サウンドの鮮明度
・WOW : SRS、TrueBass、Focusの3つの技術を融合した設定
・Defintion : 広域の音を補正する
TRANSEND M860は、項目が多く、「SRS WOW」と「SRS WOW HD」に対応し、SRSの各パラメータを変更する時は、「SRSカスタム」の扱いになるようです。ややっこしいので、説明は省略します。
では、これを使うと、どのくらい音が変わるのか?
音を出すわけにも行かないので、「ピンクノイズ」を出したときの RTA(スペアナ)のグラフで確認してみることにします。
本来なら、倍音成分などのチェックも必要になるので、いくつかの限定した周波数でテストすべきなのでしょうが、面倒なので、とりあえず!ということで、「ピンクノイズ」でのテストだけでご容赦ください。
ピンクノイズだけでも、傾向はわかると思います。
iriver E100で、ピンクノイズを再生。
グラフィックイコライザーも、SRS WOW HD も使わない、「ノーマル」の設定。
●SWS WOW HD 効果最小の設定
これが、SRS WOW HDの効果を最小にした状態。
音源として、上と同じ「ピンクノイズ」を再生しているのですが、こんな感じになります。
ヘッドフォン用なのか、小型スピーカーも想定しているのか、よくわかりませんが、意識的に50Hz以下を落としているようです。
(倍音成分を使って、体感的に、低音の減少幅を感じないようにしている?)
iriver E100では、SRS WOW HDを入れると、明らかに音が小さくなります。
(そのため、アンプのRCA端子につなぐときには、ヘッドフォンアンプなどで、音を増幅させる必要が出てくる)
おそらく、SRS WOW HDの効果が最大になったときでも、音が割れないようにするために、意図的に平均音量を下げているものと思われます。
iriver E30 では、ノーマル状態でも、SRS WOW HDを入れた状態でも、平均音量は変わりません。 こっちの方が親切です。
ここから、値を変化させていきます。
●SRS : サウンドの立体感 1→10
SRSの値を、最小の「1」から、最大の「10」に変えてみました。
モノラル音声の「ピンクノイズ」では、数値的には、ぜんぜん変わりませんね。
●TruBass : 低音強調の値 1→10
TruBassの値を、最小の「1」から、最大の「10」に変えてみました。
低音域が、大きく盛り上がってますね。
コンプレッサー処理が入っているのか、倍音成分を加えているのか、そのあたりは判断できませんが、単なる「イコライジング」(単純に音を大きくするだけ)とは、違うはずです。
単なるイコライジングとは、音の迫力とか、聞きやすさとかが、違いますから...
●Focus : サウンドの鮮明度 1→10
Focusの値を、最小の「1」から、最大の「10」に変えてみました。
Trubassの対象部分(低音域)を除いた、200Hz以上が、盛り上がってますね。
●WOW : SRS、TrueBass、Focusの3つの技術を融合した設定 0→7
この設定だけは、最小が「0」、最大が「7」になってます。
なぜ、そうなってるのかは、わかりません。
これって、SRS、TrueBass、Focusを同時に設定したのと同じ?
かと思えば、そうじゃない。 よくわからない。
●Defintion : 広域の音を補正する 1→10
Definitionの値を、最小の「1」から、最大の「10」に変えてみました。
800Hzあたりから、上の周波数が増幅されてます。
単なるイコライジングの他に、倍音成分がどれだけ混じっているのかは、わかりません。
●すべての設定値を最大にすると・・・ 全部1→全部10
WOWを除く、すべての数値を、最小の「1」から、最大の「10」に、してみました。
なんとも、微妙なカーブだ!
はっきり言えることは、ここまでくると「自然な音」とは違う。
WOWのあたりを変えると、「谷」の部分が変化しているようですね。
高音域のグラフが「-40dB」のところにありますので、高音域は、SRS WOW HDを使わない時の音量と同じということになります。
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《 SRS WOW HD と「エンハンサー」との違いは? 》
どうも、SRS WOW HD の TruBass、Definition の効果と、PA用途で使う「エンハンサー」の効果は似ているような気がします。
別のページで、エンハンサーSX3000(ベリンガー)の実験をやっているので、比べてみると面白いと思います。
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